本研究の目的は、筋肉が収縮する際に発生する圧力波(筋音)が計測可能な微小サイズのセンサを用いた、筋肉の状態の定量的評価および筋活動に基づく新しい運動解析の実現である。具体的には、「筋肉の質(速筋、遅筋など)」、「凝りや疲労」、「損傷とその回復」の定量的評価に取り組む。方法としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で製作した5mm角、厚さ2mmの微小サイズの筋音センサを、対象の筋肉付近の皮膚に固定し筋音を計測する。筋音はメカニカルな信号であるため、発汗による皮膚の抵抗変化の影響を受けず、激しい動きを伴う運動時の筋活動評価に最適である。また、本研究では、筋肉を構成するタンパク質の収縮時の振動を計測するため、従来の筋活動計測手法では得られなかった、細胞レベルの筋肉活動状況が計測可能である。 2020年度は、電気刺激信号の条件によって筋収縮がどのように変化するのかについて、市販の筋肉電気刺激用信号生成装置を用いて実験を行った。また、使用する電気刺激用のゲル電極のサイズによって皮膚との接触インピーダンスが変わることから、最終的に作成するデバイスで使用する電極サイズを想定して、改めて電気刺激条件についての精査を行った。
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