研究課題/領域番号 |
17H04757
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50707875)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人間生活環境 / 行動学 / 老化 / 社会系心理学 / 地理情報システム(GIS) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、どのような心理学的要因が、退職に伴う高齢夫婦の生活習慣・健康状態の変化に影響を及ぼしているのかを明らかにすることである。本研究は、高齢期の退職の健康影響の解明という学術的課題を大きく進めるものであり、本研究の知見から、退職という転機を高齢者夫婦の健康増進の好機とするための方策を示唆できる。 平成30年度の主要な実施事項として、神戸市灘区で実施している縦断調査の1年後調査(郵送法)を行った。事前調査の回答者1784名のうち、今後の調査依頼発送の承諾が得られている1079名へ、1年後調査への協力を依頼した。このうち、919名(85.2%)が1年後調査へ回答した。うち、214組(428名)は、夫婦そろって、事前調査および1年後調査への回答が得られた。1年後調査の調査項目は、事前調査と同様に、健康状態、生活習慣、生活習慣や健康状態に影響する可能性のある心理学的要因、基本属性などであった。加えて、1年後調査の回答者919名のうち、197名(男性83名、女性114名)に対しては、活動量計(3軸加速度計)による座位行動・身体活動量の詳細な測定を行った。また、地理情報システムを用いて、彼らの居住環境特性に関する客観的なデータを構築した。縦断調査のデータから、健康の自己管理能力や社会的ネットワークなどが健康的な生活習慣に影響を及ぼす重要な要因である可能性や、生活習慣は夫婦の間で相互に影響し合っている可能性などが示されており、現在、詳細な解析を進めている段階である。 平成30年度のそのほかの実施事項として、本研究の予備調査のデータベースの解析および論文投稿を行った。また、平成31年度以降の主要な実施事項である介入研究の準備を進め、「今後の研究の推進方策」に記載した通り、介入研究の内容を具体化できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記載した通り、平成30年度の主要な実施事項である縦断調査の1年後調査を、無事に終了できたため。また、平成31年度以降の主要な実施事項である介入研究の計画を具体化し、順調に準備を進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降も、当初計画通りに研究を進める。具体的には、介入研究を行うことを主な実施事項とする。介入研究は、神戸市灘区内の2箇所を拠点として、平成31年度秋・冬頃に介入プログラムの提供を行う予定である。介入プログラムの内容は、縦断調査の示唆に従い、健康の自己管理能力や社会的ネットワークを高めることを意図した内容を主とする予定である。 この介入研究の実施と並行して、平成30年度までに行った縦断調査および予備調査の解析・論文投稿も引き続き行う。
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