研究課題/領域番号 |
17H04757
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50707875)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人間生活環境 / 行動学 / 老化 / 社会系心理学 / 地理情報システム(GIS) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、どのような心理学的要因が、退職に伴う高齢夫婦の生活習慣・健康状態の変化に影響を及ぼしているのかを明らかにすることである。本研究は、高齢期の退職の健康影響の解明という学術的課題を大きく進めるものであり、本研究の知見から、退職という転機を高齢者夫婦の健康増進の好機とするための方策を示唆できる。 2019年度の主要な実施事項として、神戸市灘区において、介入研究を実施した。同区内において、新聞折込チラシにて介入参加者の募集を行い、139名から参加が得られた(うち、夫婦31組)。139名に、質問紙(健康状態、生活習慣、生活習慣や健康状態に影響する可能性のある心理学的要因、基本属性などの質問項目で構成)と活動量計(3軸加速度計)による事前調査を行った。続いて、事前調査の後に参加辞退した1名を除く138名を、介入群と対照群へ無作為に割り付けた。介入群へは、同区内の2箇所を会場として、1回約2時間、週1回の介入を、10週間提供した。介入内容は、2018年度までの縦断研究の結果に基づき、健康の自己管理能力や社会的ネットワークを高めることを意図した内容とした。一方、対照群は、待機群とし、これまで通りの生活を送るよう依頼した。介入群に対する10週間の介入が終わった後、両群に対して、事前調査と同様の中間調査を行い、131名から中間調査のデータが得られた(うち夫婦29組)。続いて、対照群に対して、10週間、介入群と同じ内容の介入を提供した。その後、両群に対して、事前・中間調査と同様の事後調査を行い、130名から事後調査のデータが得られた(うち夫婦29組)。現在、得られた一連のデータの解析を進めている段階である。 2019年度のそのほかの実施事項として、本研究の予備調査および2018年度までに行った縦断研究のデータベースの解析および論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記載した通り、2019年度の主要な実施事項である介入研究を終了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、縦断研究および介入研究の追跡調査を行うことを主要な研究計画とする。縦断研究の追跡調査は、2017年度に神戸市灘区をフィールドとして行った事前調査のうち、今後の連絡への了承が得られている約1079名(うち夫婦約263組)を、また、介入研究の追跡調査は、事後調査に参加した約130名(うち夫婦約29組)をそれぞれ対象とする。 これらの追跡調査の実施と並行して、2019年度までに得られたデータの解析・論文投稿も引き続き行う。
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