研究課題
2019年度は顕著な認知機能低下者における歩行機能と認知機能の低下に関連する要因と、それに伴う脳構造変化を明らかにすることとした(研究①)。加えて、最長7年間の縦断研究の結果を用いて、歩行機能と認知機能低下パターンにおける類型化を行った(研究②)。研究①では、北米における多施設共同研究に参画し、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害、脳血管性認知症と診断された患者のデータを用いた(計269名)。研究では、マット式の歩行解析機器を用いて、通常歩行速度を測定し、1m/s未満の歩行速度の者を歩行速度低下者と定義した。また、脳の構造変化を把握するため、脳MRI画像を用いて構造解析を行った。調査の結果、認知機能が低下しているこれらの患者において、アポリポ蛋白E(Apolipoprotein E, ApoE)の対立遺伝子ε4(ApoE 4:認知機能低下の最大の遺伝子リスクファクター)を保有し、歩行速度低下している者では、脳白質病変が有意に多い傾向が認められた。この結果から、ApoE 4が関連する白質病変増加が歩行機能と認知機能の低下を結び付けている可能性が示唆された。研究②では、1024名を最大7年間追跡した縦断研究の結果を用いて、歩行機能と認知機能の低下パターンの類型化を行った。類型に際しては、それぞれの初期値(ベースライン値)を考慮した上で、どちらの機能が低下しやすいかといった観点で類型化を行った。解析の結果、それぞれの機能の初期値が低い場合、他方の機能が低下する傾向が認められた。また本研究の参加者では、ベースライン時に歩行機能もしくは認知機能が低下している者は同程度であり、歩行機能もしくは認知機能が先に衰える者の割合は半数ずつである可能性が示唆された。この点については引き続き詳細に検討していく予定である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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