研究課題/領域番号 |
17H04764
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅沼 大祐 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10611204)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ケミカルバイオロジー / 分子イメージング / 蛍光プローブ / 生体分子計測 / 分子タグ技術 |
研究実績の概要 |
小分子蛍光プローブは蛍光イメージングを通じて細胞内外の多様な分子の時空間動態を可視化し、動的な細胞現象の直接的な理解に大きく貢献してきた。しかしながら、その応用は培養細胞で多く達成されてきたが、組織や個体での分子動態の解明への貢献は十分に為されていない。本研究では、神経細胞のカルシウムシグナルの可視化を対象として、従来生体応用の際に問題となるプローブの非特異的染色を解消し、なおかつ、生体イメージングに適した近赤外光による分子の可視化を実現する革新的な蛍光プローブ・タグ技術の開発を目的とする。当該年度は、前年度に合成を完了した蛍光プローブのプロトタイプを培養細胞へ応用し、蛍光イメージングの特性について検証を行った。前年度に取得したDeQODEタグを安定的に発現するHeLa細胞を用いて、DeQODEタグを発現しないHeLa細胞と併せて作製した共培養系に対して、蛍光プローブのプロトタイプを負荷した後に薬剤刺激を行ったところ、DeQODEタグを発現するHeLa細胞で高い選択性を持ってカルシウムシグナルを検出した。また、神経細胞への当該技術の応用を行った。ラット海馬由来神経細胞に対して、アデノ随伴ウイルスを用いてDeQODEタグの遺伝子導入を行い、開発した蛍光プローブを負荷した後に蛍光イメージングを行ったところ、電気刺激に応じたカルシウムシグナルを可視化することができた。さらに、in vivo近赤外蛍光イメージングに向けて、マウスの神経細胞へのDeQODEタグの遺伝子導入について検証を行った。アデノ随伴ウイルスを用いて遺伝子導入を試みたマウスから脳スライス標本を作製して蛍光イメージングを行ったところ、神経細胞でDeQODEタグが発現することを確認した。また、脳スライス標本において薬剤刺激に応じた蛍光シグナルの変化を捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に開発した蛍光プローブのプロトタイプを培養神経細胞や脳スライス標本への応用を進め、開発技術のイメージング特性について検証を行うことができた。最終年度となる次年度に向けて、最終目標となるin vivoカルシウムイメージングへの応用の準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発した蛍光プローブを当初の予定通りにin vivoカルシウムイメージングへの応用を行う。蛍光プローブの染色特性等に問題がある場合は、問題に応じて染色法の最適化や構造展開を基にした蛍光プローブの新たな開発により改善を図る。提案技術の円滑な開発を推進し、既存技術では為し得なかった分子イメージング手法が提供可能であることを実証する。
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