研究課題
ヒト研究から、攻撃性と血中の炎症系サイトカインとの相関が報告されている。しかしながら、免疫系がどのように神経系の働きに作用することで攻撃行動に影響を与えるかのメカニズムはほとんど分かっておらず、それどころか過剰な攻撃行動に関わる神経回路自体も探索段階である。本研究は、雄マウスを用い、背側縫線核(DRN)を含む神経回路がどのように免疫系によって影響を受け、その結果攻撃行動の個体差を生み出したり、過剰な攻撃行動を引き起こすのかを明らかにすることを目指すものである。本実験から、攻撃行動とDRN内のインターロイキン1β(IL-1β)量の間に負の相関があることが明らかとなった。遺伝学的・薬理学的にDRNにおけるIL-1βの作用を抑制することにより攻撃行動が増加することも明らかとなった。さらにIL-1βをDRNに局所投与すると、投与した翌日の攻撃行動が減少することも示された。このことから、DRNにおけるIL-1βは攻撃行動を抑制的に制御しており、このIL-1β量の違いが攻撃性の個体差を生み出すメカニズムである可能性が示された。DRNにおけるIL-1βがどの細胞に由来するものであるかを調べるために、MACSを用いてDRN細胞のセルソーティングを行い、ミクログリア、上皮細胞、それ以外の細胞(神経細胞など)におけるIL-1β mRNA発現を調べたところ、攻撃性の低い個体は攻撃性の高い個体と比べて、ミクログリアにおけるIL-1β発現が増加していることが示された。このことから、DRNのミクログリアに由来するIL-1βが攻撃行動の個体差に関与する可能性が示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Psychiatry
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