研究課題
本研究では、ポストデジタル以降の音を生み出す構造の構築として、前年度の研究の成果を踏まえ以下の研究を実施した。1. 歯車の回転-任意の形状を持つトーンホイールの作成として、音声波形を含む任意の形状の歯車のモデリングを試みた。歯車のデータを(1)レーザーカッターにより切り出しマグネットインクを塗布、(2)磁性フィラメントを用いて3D出力し、電磁ピックアップによってその回転に伴う磁界の変動の検出を試みたが、現段階では音声として知覚するほどの磁界変動をこれらの手法で得ることは難しい、ということが確認された。一方で、印刷物の濃淡からの磁界変動の検出という興味深い現象が確認されており、こちらについては2019年度に国際会議等の場において発表を行う予定である。2. 実施を予定していた蝉の発音筋の制御による発音については先行事例が確認されたため、同様に音と生物に関わる試みとして、イカの色素胞を用いた音声信号の可視化手法の提案を行い、その成果を学術論文および作品として取りまとめた。3. 前年度に引き続き物理モデリング音源の再物理化を実施し、その成果を作品および学術論文として取りまとめた。4. その他、ポストデジタル以降の音を生み出す構造として、声道模型に基づく楽器、音響漁法に関わるデバイスの製作、擦弦楽器の拡張を行い、その成果を学術論文として取りまとめた。5. また、これまでの研究成果を踏まえた招待講演を複数回実施したほか、本研究に関連する実践として、関連の作家を招いた展示・演奏形式での成果発表を実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、前年度の研究結果を踏まえ、同一のテーマに基づく別種の試みとして、一部計画を変更(イカの色素胞を用いた音声信号の可視化ほか)して研究を実施することになったものの、一定の成果を生み出すことが出来ている。その他、研究実施計画に記した、展示・演奏の場における活用、作家・研究者との定期的な対話、国内外での視察や学会参加、機材の修復については計画通り実施しており、ポストデジタル以降の音を生み出す構造に対する理解を深めていることから総合的に当該の進捗状況とした。
今後の研究においては、これまでの成果を踏まえ、学術論文及び作品という形で最終年度に向けてその取りまとめを図っていくほか、一部計画の変更に伴う、音以外の要素も含むポストデジタル以降の表現についての考察を、関連の作家・研究者との対話や、関連の実践の視察を通じて、深めていく予定である。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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