研究課題/領域番号 |
17H04777
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50566940)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 考古科学 / 脂質 / 考古生化学 / 土器 / 縄文 / 弥生 / 食性 / 調理 |
研究実績の概要 |
本研究では、最先端の考古生化学的手法である土器残存脂質分析を用いて、弥生文化の広まった地域内(北部九州・中部高地)および地域外(北海道・南島)、さらには弥生農耕文化を生み出す母胎となった大陸(朝鮮半島・山東半島)における土器の用途(調理対象物・使い分け)を比較することで、弥生文化の出現・広がりと土器による調理対象物の傾向、ひいては食性そのものがどのように関連するのかを具体的に明らかにしようとする。初年度である当該期間においては、これまでの研究史をふまえたレビュー論文を国内誌『日本考古学』に出版するとともに、韓国での事例研究を国際誌Quaternary Science Reviews上で発表した。奈良文化財研究所内に土器残存脂質用の分析設備を整備するとともに、京都大学生態学研究センターの安定同位体分析装置の共同利用も開始した。また、中部高地の山梨県における縄文時代晩期から弥生時代前期の試料採取を行った。さらに、1月には新学術領域研究「総合稲作文明学」と共同で国際シンポジウム「アフロ・ユーラシアの考古植物学」を奈良文化財研究所にて開催し、世界各地で行われている最先端の考古植物学的研究について情報共有、討議を行った。さらに、考古学や文化財学の専門家を対象とする講演以外にも、生態学(京都大学生態学研究センターでのセミナー)や分析化学者(日本分析化学会ガスクロマトグラフィー研究懇談会)らを対象とする講演も積極的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料採取、共同研究先との連絡、実験設備の整備など、すべて順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
代表者の勤務先である奈良文化財研究所において土器残存脂質分析を本格的に開始し、具体的なデータ生産を行う。当分野の代表的な国際学会であるInternational Symposium for Biomolecular Archaeology (Jena, Germany)に参加し、研究発表および情報共有を行う。
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