研究課題
2021年度と2022年度には、コロナウイルスの影響で渡航が制限され、自身による現地での調査・研究は実施できなかった。しかし、ペルーとエクアドルの共同調査者、研究協力者および専門家の尽力によって、2017年以降に獲得したデータの整理・分析作業を完了させることができた。また、日本国内においても、データのデジタル化やGISによる整理作業をすすめつつ、関連文献を渉猟することで、これまでの成果を総括した。その結果、アンデス形成期(前3000年-紀元前後)において、社会的統合の中心であったとされる神殿の大規模化・複雑化と地域間交流の活発化および質的変化との関係を、ワンカバンバ川流域のデータから、より具体的に論じることが可能となった。とくに、ワンカバンバ川流域で最大規模をほこるインガタンボ遺跡から出土した動物骨の分析を実施したことで、社会変化との関連において、儀礼や荷駄獣として利用された各種の動物の出土状況を通時的に把握できたことは非常に大きな成果といえる。また、比較研究の材料となる、ペルー南部とエクアドル南部という環境的・文化的に特色の異なる二地域のデータを入手できたことで、多角的な視点から神殿社会の成立・展開と地域間交流との動態的相互関係を実証的に明らかにする、という本研究の目的は達成できたと考えられる。今後は、これまでの研究成果とのさらなる総合や記述の相互関係のモデル化をより一層すすめていくことで、本研究成果をさらに精緻化していくことが重要である。本研究でえられた成果は、オンライン形式が主となったものの、国内外の学会やシンポジウムで発表したほか、様々な出版物においても随時発表をおこなった。また、これまでの調査成果の一部は、ペルーの調査地の教育機関へリーフレットの配布という形で還元することもできた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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『アンデス文明ハンドブック』(」関雄二(監修)・山本睦・松本雄一(編))
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The Archaeology of the Upper Amazon: Complexity and Interaction in the Andean Tropical Forest (Ryan Clasby and Jason Nesbitt (eds.))
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Paisaje y Territorio en los Andes Centrales: Practicas sociales y dinamicas regionals (Luisa Diaz, Oscar Arias y Atsushi Yamamoto (eds.))
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古代アメリカ
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