本研究では、アンデス形成期(前3000年-紀元前後)における神殿社会の成立・展開と地域間交流との動態的相互関係を明らかにするため、ペルー最北部ワンカバンバ川流域の神殿遺跡に加え、社会の複雑化の軌跡は異なるが交流は想定されるエクアドル南部で発掘調査を実施した。また、よりマクロなレベルでの比較研究のため、環境的・文化的にも異なるペルー南部ナスカ市近郊で踏査をおこなった。 この結果、ペルー北部とエクアドル南部における地域間交流の実態が明らかとなり、比較研究によって地域間交流の多様性が示されることで、社会変化における神殿の役割や神殿と地域間交流との関係について、より実証的に論じることが可能となった。
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