研究実績の概要 |
非民主制下の選挙の理論と実証分析についての研究を単著本としてまとめ、匿名査読者による査読を経てUniversity of Michigan Press (Weiser Center for Emerging Democracies Series)と出版契約を取り結んだ。また、選挙不正と一票の格差に関する多国間統計分析、権威主義下の選挙制度改革に関する論文などが Japanese Journal of Political ScienceやGovernment and Oppositionといった定評ある査読誌に受理された。また、単著本の理論枠組みを、権威主義体制の議 会や政党など他の政治制度へ分析を拡張し、権威主義体制の政治制度の起源と帰結の総合的な解明する研究を進めた。具体的には、権威主義体制の政治制度に関 する多国間データを構築し、これらの制度が決定される要因、および経済政策や体制変動などマクロ政治経済に及ぼす影響を分析した。この権威主義体制の多国 間比較プロジェクトに関して、イェーテボリ大学のVarieties of Democracyと共同で大規模データの構築を行ない、完成したデータはV-Partyデータとして共同研 究成果の一部として2020年10月に公刊された。第二に、権威主義体制の議会や意思決定のあり方が市民の体制への正統性認識にいかなる影響を及ぼすのか、中央 アジアのカザフスタンを事例とした、サーベイ実験をおこなった。新型コロナウイルスの影響で対面インタビュー調査に大幅な遅延が発生したが、3,000人の市民 への調査を2021年3月に終了し、暫定分析結果を2021年3月24日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターにて報告した。
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