研究実績の概要 |
本研究では、上場企業の会計報告と企業統治の関係性についての実証研究を中心として、いくつかの研究を推進している。特に、昨年度の研究では、日本の企業統治の特徴の一つであるメインバンク制に着目した研究を行ってきた。企業の財務報告において、会計不正につながるような問題を少なくするためには、会計保守主義(Accounting Conservatism)の適用が重要とされている。しかしながら、上場企業において、会計保守主義が十分に機能せずに、財務報告上の問題が発生する場合もある。このような場合には、会計保守主義の代替的な企業統治メカニズムが重要になると考えられる。そのような観点から、本研究では、メインバンク制と会計保守主義の関係性について検証を行う実証研究を行った。 同論文については、実証分析の終了後に執筆すると同時に、American Accounting Association(AAA) 、Academy of International Business (AIB)などの国際会議の年次大会で報告を行い、様々なコメントを得ることができた。加えて、2018 International Congress on Banking, Economics, Finance, and Business(BEFB)の国際会議でも報告を行い、Distinguished Papers Awardを受賞するという形での成果を得ることができた。 これらの国際学会での報告の終了後に、国際学会で受けたコメント等を反映させ、2018年9月には、Discussion Paperとして発行すると同時に、学術誌に投稿を行い、現在、リバイスのコメントを受け修正中である。その他にも、前年度からの継続論文などについて、銀行業の企業統治に関する実証研究や親子上場の問題などに関する研究を公刊することができた。
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