研究課題/領域番号 |
17H04788
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (20510382)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統一プロトコル / 認知行動療法 / うつ病 / 不安症 / 感情 / 感情障害 / 脳画像 / 機序 |
研究実績の概要 |
本研究は、若手研究(A)『感情障害への認知行動療法の統一プロトコルの有効性とその治療機序・神経基盤(25705018)』で実施してきた大規模なランダム化比較 試験に附属する研究を拡張させた研究である。第一の目的はうつ病と不安症に対する診断横断的な認知行動療法の統一プロトコル(UP)の有効性を検証することである。また、UPの治療機序、神経基盤、長期的効果の検討も目的としている。本体の臨床試験は、平成30年度までで目標症例数104例の登録を達成した。目標症例数の登録達成以降は、神経基盤の解明に資するデータ取得のために、ランダム割付を行わないかたちで撮像とUP実施を進めた(累計で10例登録済)。これまでのMRI撮像累計は199件となった。 統一プロトコルの臨床応用に関する書籍(Barlow & Farchione, 2017)の翻訳を進め、出版した。Association for Behavioral and Cognitive Therapiesのシンポジウムでは、我が国におけるUP研究の発展に関してのプレゼンテーションを行った。プライマリアウトカム論文のために、データの固定を完了させ、解析を進め、Blinded Interpretationの準備を行なった。臨床試験データを用いた二次解析として、感情調整、治療への期待、宿題遵守などの機序・プロセス変数がアウトカムにどのように関わるかの解析を進め、これらを来年度のAssociation for Behavioral and Cognitive Therapiesでのシンポジウム抄録として提出した。さらに、感情表出と治療アウトカムの関連に関しては、予備試験のデータを用いて二次解析し国際誌へと投稿した。長期追跡に関する追加調査のデザイン検討を進め、患者の状態に応じてUP再実施、ウェルビーイング療法実施等のフォローの必要性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プライマリアウトカム論文の執筆が遅れており、2020年度中の公表を目指す。長期予後に関する研究はデザインの検討に時間を要しており、前年度中にデザイン確定ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
プライマリアウトカム論文の主要部分の解析は既に終えているため、今後、Blinded Interpretation会議を開催し、解釈を固定した上で、割付結果の解錠を行う。これを終えた時点から、割付情報を含めた二次解析を解禁とし、脳画像を含めて様々な論文化を進める。長期予後に関しては、新型コロナウイルスの影響をデザインに含め、遠隔評価など、より簡便な手法の導入を検討する。
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