研究実績の概要 |
連続発振の波長可変レーザーを用いた単一分子からのSTMフォトルミネッセンス(PL)分光において、<0.01 meVのエネルギー分解能と<1 nmの空間分解能を世界に 先駆けて達成した。この手法を用いることで精密に励起状態のエネルギー幅を測る事に成功し、金属基板上の4原子層のNaCl薄膜上に吸着した単一フタロシアニン 分子の励起状態のエネルギー幅が0.2 meVよりも広いことを明らかにした。これは、励起状態の寿命に換算すると数psよりも短いことに相当し、従来報告されてい る値よりも2-3桁ほど励起状態寿命が短いということを示唆している。さらには、静電場やプラズモン電場との相互作用の詳細を明らかにし、励起状態のピークエ ネルギー値やそのピーク幅を制御可能であることを実証した(H. Imada et al., Science, revision submitted)。 単一分子PLの実験セットアップをそのままに、単一分子からの光電流の検出にも成功こした。分子に固有のHOMO-LUMO遷移をレーザー励起してSTM探針使ってトンネル電流として光電流を検出した(M. Imai-Imada et al., Nature, under revision)。また、同様のセットアップで行う単一分子の共鳴ラマン分光の実験にも進展があり、共鳴ラマン散乱における、基板の効果を解明し論文発表を行った(R. Jaculbia et al., Appl. Spectrosc. 74 (2020) 1391)。
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