これまで、精密な分光計測には主にレーザー光が用いられてきたが、空間分解能は数100 nmとナノ物質の空間的特徴を明らかにするには不十分であった。一方で、原子分解能で物質を観察できる顕微鏡では、精密な分光法が開発されておらず、顕微鏡で観ているナノ物質の性質を正確に測ることは困難であった。本研究では、原子分解能をもつ走査トンネル顕微鏡(STM)と狭線幅の波長可変レーザーを組み合わせて用いることで、μeVという高いエネルギー分解能とnmという高い空間分解能を併せもつ精密ナノ分光法が新たに開発された。この手法はナノ物質の性質を直接評価できる手法であり、エネルギー変換研究に貢献すると期待される。
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