研究課題
プラズモエレクトリック効果は、プラズモン共鳴によってプラズモニックナノ構造が加熱される際、自由電子が熱平衡になるように移動することで起電力が発生するものである。そのため、起電力の最大値は共鳴の勾配が最大の波長で起き、共鳴波長の前後で負と正の起電力が発生し、共鳴波長では起電力がゼロになる。これらの特徴はプラズモン誘起電荷分離による起電力発生とは大きく異なる。これまでプラズモエレクトリック効果は、金と銀でしか測定された前例がなかった。2020年度にケルビンプローブ顕微鏡を用いて行った測定で、プラズモエレクトリック効果が窒化ジルコニウムでも発生することを確認した。測定に用いたのは窒化ジルコニウムのナノディスクアレイで、ITO膜付きガラス基板上に電子線描画とドラフトエッチングによって作製した。その解釈を深めるため、2021度はプラズモエレクトリック効果を数値的に再現するモデルを電磁気学と伝熱工学、熱力学を組合わせて構築し、実際に計算を行った。その結果、計算でもプラズモエレクトリック効果に特徴的な波長によって符号の異なる起電力を再現することができた。一方で、計算で予測される起電力は実測値より約一桁小さかった。この理由として、起電力と起源となっている自由電子の移動が加熱の効果以外でも起こったこと、及び測定で用いたケルビンプローブ顕微鏡用プロ―ブの存在によって計算よりも温度が上がっていたことが考えられる。なお、数値計算モデルにはプローブは含まれていない。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件)
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