研究課題/領域番号 |
17H04807
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
嘉治 寿彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90463794)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 |
研究実績の概要 |
光学設計を最適化し定在波を利用した高効率の有機薄膜太陽電池が世界の様々な研究機関から報告されている。その光電変換層の最適膜厚は、高分子ドナー:フラーレン系で250-400 nm程度、低分子ドナー:フラーレン系で一桁小さい40-50 nm程度とされている。しかし最近応募者らは、不利な低分子ドナー系を用いても、有利な高分子ドナー系の最適値より厚い500 nm以上の膜厚において、定在波を利用するよりも高い電流密度と量子収率を得られることを再現よく実証している。 この現象は応募者の考案した共蒸発分子誘起結晶化法で作製した太陽電池でのみ確認できており、本研究の目的は、この現象をより高い光電変換効率を示す材料で実証することである。 今年度は、上記目的の現象を既に実証できているZnPc:C60系において、その様々な特性をより詳細に検討するとともに、類似の材料系であるZnPc:C70系において、この現象が生じにくい原因を追究、確認した。 また、上記のZnPc以外のフタロシアニン系でも同様の現象が起きることを確認し、さらに、フタロシアニンと同様に数十年前から有機半導体分野で既知で安価な材料系や、有機薄膜太陽電池の高効率化のために合成された材料系、従来から知られる高開放端電圧材料系、ニッケル錯体などの従来から知られる近赤外吸収材料系も加えて、「500 nm以上の膜厚において定在波を利用するよりも高い電流密度と量子収率を得られる」現象の実証を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、既に目的の現象が実証できているZnPc:C60系において、その特性のより詳細な分析が進んでいるとともに、類似の材料系であるZnPc:C70系において、この現象が生じにくい原因を追究、確認した。 さらに計画通り、上記のZnPc以外のフタロシアニン系でも同様の現象が起きることを確認した。一方、他の材料系においてはまだ同様の現象が確認できていないものの、概要に記した通り、いくつかの材料系において実証を開始している。 まず、従来から知られる近赤外吸収材料であるニッケル錯体においては予期していなかった両極性に起因する問題に直面したがその解析結果を学術論文として報告している。 次に、他の材料系については、それぞれの材料系に起因する問題はあるものの、おおむね予期した範囲内であり、次年度以降、順次実証されることが期待される。 上記の理由から、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、既に開始している様々な材料系における実証を継続する。
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備考 |
研究成果の学会発表により受賞した、PVSEC-27(国際会議)「Young Researcher Paper Award」の受賞報告。
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