研究課題
本研究では,食料生産に不可欠な化合物窒素を効率的に合成する放電プラズマ窒素固定法の実現に向け,気液境界高振動温度窒素プラズマ生成とその反応過程の理解を目指す.三年目は,換算電界の更なる増加,放電プラズマ装置内でのラマン散乱・発光分光計測,さらにプラズマ気液境界における窒素酸化物反応過程の観測を行い,以下の知見を得た.1.二年目の知見を基に1分子あたりに入力される放電エネルギーを適切に制御し,見かけの換算電界が6 Td(これまでの倍以上)の非自己維持放電を実現した.さらに,ナノ秒パルス電圧・周波数,直流印加電圧,ガス圧力・流量等の外部パラメータの検討から,放電電極等の構造・材質が換算電界上限の因子である可能性が推定された.2.放電プラズマ装置内部の基底状態窒素の振動温度計測,および電子励起状態窒素分子の回転温度計測を行った.高換算電界印加により振動準位4以上が観測でき,振動温度5000Kかつ回転温度1000K未満という高振動温度窒素プラズマの実現が示された.さらに,換算電界の増加に伴う振動温度の増加も明らかとなり,本研究独自のナノ秒パルス放電維持-非自己維持直流放電機構の有効性が実験的に明らかとなった.3.プラズマ生成活性窒素種の赤外吸収分光計測から,500K程度のガス温度であっても活性窒素種生成量が顕著に増加した.振動温度のみならず回転温度の適切な制御も,高効率なプラズマ窒素固定において重要であることが示唆された.4.気液境界プラズマ窒素固定においては窒素解離過程だけでなく,気液境界反応で難溶性の窒素酸化物を安定な硝酸に連続的かつ迅速に変換する反応系が必要である.本研究では,水に難溶な一酸化窒素や二酸化窒素を,プラズマ生成活性酸素種で迅速に酸化しほぼ全量を五酸化二窒素に変換できることと,さらに水との反応により易溶な硝酸に変換できることを実験的に明らかにした.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 16件、 招待講演 4件)
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