研究実績の概要 |
2019年度進めていた研究課題を以下の通り解決した。本研究課題の核の1つである, Bordenave氏と強自由性とテンソル積についての共同研究を完成させた。この研究結果は大きなテンソル積空間の新しい理論と具体的な計算法を提供した。その結果を「Strong asymptotic freeness for independent uniform variables on compact groups associated to non-trivial representations」としてまとめて論文として投稿している(プレプリントはarXiv:2012.08759)。独立なHaar分布に従うユニタリランダム行列の漸近的自由性がVoiculescuによって発見された後、ユニタリランダム行列の強漸近自由性のような作用素ノルムの収束までをこめた強い概念やユーグリッド空間の対称性を表すユニタリ行列ではなく有限集合の対称性を表すランダム置換の強漸近自由性も示されるなど多くの改良がなされてきている。その中で特定の非ランダムな置換で漸近的自由性を達成するものが構成できるという結果が知られている。この結果を深く考察しユニタリ群の表現論から自然に現れる新しい行列モデルを考察した。この一般化した文脈で強漸近的自由性が成り立つことを示せた。表現論における古典的な結果により、この結果からテンソルのへの応用も見つかっている。この結果を得るため4つの新しいツールを開発した(i) 中心化されたWeingarten calculusとその一様評価(ii) ガウスモーメントと行列のユニタリーモーメントの系統的かつ一様な比較、(iii) C*-代数における一般化・単純化された作用素値非バックトラッキング論 (iv) tensor moment matricesの組み合わせ論。
|