以下の研究を行った。 (1) 2020年度までに実行してきた高分解能宇宙論的シミュレーションに基づいた、準解析的初代星形成モデルの開発を進めた。大規模シミュレーションのデータを扱えるようにコードの高速化などの整備を行った。またモデル計算を多数行い、シミュレーションの分解能や空間体積がどのように影響するかを調べた。結果を欧文論文としてまとめている。 (2) 構造検出コードを最適化し、超高分解能宇宙論的シミュレーションのボックス全体にわたるハローカタログ、およびハロー合体形成史を利用できるようにした。高赤方偏移から現在までのカタログを整備し、データの二次利用を可能にした。2つのシミュレーションから構成され、ひとつめは一辺 16 Mpc/h 共動距離の立方体内に、ダークマター質量解像度 7.5e3 太陽質量をを実現している。もうひとつは一辺 140 Mpc/h 共動距離の立方体内に、ダークマター質量解像度 1.3e6 太陽質量を実現している。前者のような高分解能、かつ一辺 5 Mpc/h 以上の大領域をシミュレーションしたものはこれまで存在しなかった。また後者のシミュレーションの分解能は、他のグループによって行われた同程度のボックスサイズのシミュレーションに比べ、1桁程度良い。
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