研究課題
【センサ設計】長くJPLの開発するデルタドーピングCMOSの採用を検討してきたが、残念なことに開発スケジュールの不透明が改善しないことが、2020年2月の訪問で判明した。このため、波長帯を30nmほど長波長側へ妥協して、民生品のCMOSセンサと国産のバンドパスフィルタを組み合わせた、バックアッププランを検討した。結果として、センサ感度は十分高く、期待される紫外線天体のイベント個数も当初予定を大幅には損なわないことを確認した。【光学系再設計】このバックアップセンサの要求をベースとして光学系の再設計を行い、良好な結果を得た。【フライト機会の申請】昨年度、宇宙研で申請した小規模プロジェクトが残念ながら採択されなかったが、このことを受けてJAXAの革新的衛星技術実証3号機での相乗りフライトを想定した衛星ミッションを企画し申請した。この衛星は地球観測を主目的としているが、夜間には望遠鏡を宇宙方向に向けて観測をおこなう計画のものである。【衛星システム設計】小規模プロジェクトにおける不採択理由について熟考し、衛星のバスサイズを6Uから50kgクラスバスへと拡大した。これにより熱設計と実装の困難を同時に改善することができ、設計自由度が格段に大きくなった。このバスは現在、開発中の工学部Hibari衛星のコピーとし、開発コストを極限まで抑え、信頼性を高めつつと高精度3軸姿勢制御を目指すものである。
3: やや遅れている
申請当初予定していたJPLからのセンサ提供が絶望的となったことにより、大幅な計画変更となってしまった。センサ開発については、JPLのセンサ遅延によって後ろにシフトしてしまっていたが、今回バックアッププランとして採択したCMOSについては、他大学との共同研究により迅速に進める事が可能である。フライト装置の開発予算については、宇宙研の小規模計画に申請したが採択されなかった。本年度は別のフライトチャンスを申請し、なんとか世界初の軌道上観測実現へ向けて希望を繋いでいる状況である。
バックアッププランとして想定しているセンサは、民生品であり、すでにサンプルを購入済である。このセンサはすでに動作実績もあり、多くの国内研究機関で環境試験も実施されていることから、これまでの遅延を取り返すことができると期待している。今後開発すべき課題は、センサ放熱と望遠鏡の温度管理であり、熱設計が主眼となる。EM品の設計開発を行うとともに、衛星構造とのインターフェースを固め、熱設計にも気を配って開発を進める。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)
The Astrophysical Journal
巻: 885 ページ: L19~L19
10.3847/2041-8213/ab4ad8