研究課題
本研究の目的は、次世代の地上ガンマ線望遠鏡であるチェレンコフ望遠鏡アレイ(CTA)の小口径望遠鏡の焦点面カメラ開発を進め、試作カメラを望遠鏡焦点面に設置し大気チェレンコフ光の試験観測までを行うことである。2017~2018年度は海外の共同研究機関・共同研究者との連携で、試作カメラ2号機の製作を進めた。2016年度までに製作を完了していた1号機では光検出器として64チャンネルのマルチアノード型光電子増倍管を使用していたが、本研究の2号機ではこれを半導体光検出器に置き換え、また使用するトリガー回路や波形記録回路を最新版に変更した。本科研費を使用することで、これら回路の製作を行い、試作カメラ2号機で使用した。この試作機は海外との共同製作のため、ドイツのマックスプランク核物理学研究所の実験室に設置し、動作試験や性能評価を行った。2018年度途中で試験観測まで行う予定であったが、観測施設との調整のため、2019年度に持ち越しとなった。また同様のカメラを名古屋大学にも本研究で設置する予定のため、製作したうちの一部の電子回路モジュールは名古屋大学に納品して動作試験を行った。また、2017年度中の2号機の製作段階ではソフトウェアやデータ収集システムの試験ができなかったため、1号機の性能試験を進め、既存システムの問題点や改善点の洗い出しを行い、ハードウェア開発論文として執筆を進め、出版した。さらに、将来的にCTAで使用する半導体光検出器の選定や性能評価、また温度変動に対する補償、多チャンネルの半導体光検出器でのみ発生する隣接チャンネルへのオプティカルクロストークの測定とシミュレーションなどを始めて行った。
2: おおむね順調に進展している
小口径望遠鏡の焦点面カメラ試作機の製作に向け、必要となる電子回路部品の製作を順調に進めることができた。また半導体光検出器の試験なども順調に進めるとともに、これまで知られていなかった隣接画素へのオプティカルクロストークを発見するなど、新たな知見を得られた。一方、一部の電子回路の製作の遅れ、また試験観測の開始まで進めないという遅延があったため、期間延長をした。
2019年度中に、試作2号機を実際に望遠鏡焦点面に設置しての大気チェレンコフ光の試験観測を進める。また、同カメラ試作機を名古屋大学の実験室にも設置し、特に半導体光検出器の較正試験などを行う。
すべて 2020 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 952 ページ: 161746~161746
doi.org/10.1016/j.nima.2018.12.061
巻: 912 ページ: 177~181
10.1016/j.nima.2017.11.017
巻: 904 ページ: 44~63
10.1016/j.nima.2018.06.078
Astroparticle Physics
巻: 92 ページ: 49~61
10.1016/j.astropartphys.2017.05.003
Journal of Instrumentation
巻: 12 ページ: P12008~P12008
10.1088/1748-0221/12/12/P12008
http://www.cta-observatory.jp/
https://www.cta-observatory.org