超伝導空洞内面に最適膜厚を持つ超伝導薄膜を積層する事で加速性能を向上させられると考えられている。その原理実証及び理論の精緻化を行った。高純度ニオブ(Nb)材の上に絶縁層を挟んで窒化ニオブ(NbN)薄膜が積層された試験片を作成し、NbNの厚みが異なる複数の試料について磁束侵入磁場(Bv)測定を行ったところ、Bvを向上させられる最適膜厚の存在が確認された。Nb単体と比べて20%程度向上した。また、BCS理論を用いて不純物を多く含む積層薄膜構造の過熱磁場(Bsh)を計算し、Bshの膜厚依存を調べた。BshはBvの理論限界に対応する。BCS理論に基づく積層薄膜構造の非線形表面抵抗の理論も構築した。
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