研究実績の概要 |
本研究では、直接核反応(p,2p)用いた質量欠損法測定により、重い不安定核に与えた励起エネルギーを測定する。この励起エネルギーの変化として、どの励起エネルギーで核分裂が始まるかを見ることによって、核分裂障壁を導出し、なおかつ、分裂後の核分裂砕片を大立体角SAMURAI磁気スペクトロメーターで測定することにより、核分裂の対称性、非対称性を決定することが目的である。当該年度においては、引き続き、SAMURAIスペクトロメーターを用いた過去のテスト実験データの解析を進めた。粒子同定プロットを作成することが目的であるが、まだ、十分な分解能を持つに至っていない。ただし、大まかには、重い核と軽い核が同時に核分裂で作られている(非対称)であることがわかっている。SAMURAIスペクトロメーターの粒子同定の能力自体は、本来Sn領域までの原子核を十分な分解能で同定できることは核分裂のない別の実験データセットから確認済みである。核分裂のある実験データは、核分裂片の作られる反応点もしくはその直下流の情報が重要であるという事を明らかにした。テスト実験の段階では、(p,2p)反応測定セットアップがなかったため、反応点の情報は精度よく決められていなかったのが原因の一つである。実際意開発された(p,2p)反応セットアップは十分な位置分解能をもっていることは確認済みである。このため、(p,2p)反応セットアップとSAMURAIスペクトロメーターを組み合わせて、質の良く強度の強い一次ビームで較正データを取り直すことを考えている。
|