研究課題
超高温高圧環境の地球中心から地表までの間に存在する大きな熱勾配は融体金属からなる地球外核と固体マントルの対流を引き起こし、約 40 億年間続くとされる地磁気の生成やプレート運動などの地球のダイナミクスの原動力となっている。熱伝導率は地球内部の温度構造と熱進化、ダイナミクスを探るための基礎的な物理量であるにも関わらず、実際の地球中心核の温度圧力条件での測定例は殆ど存在しない。本研究の目的は、地球の核を構成する鉄-軽元素合金の熱伝導率を実際の地球中心核の温度圧力条件で実測することである。平成30年度は昨年度に引き続き地球中心核の主成分である純鉄を試料として、その熱物性に関する研究を行った。その結果、内核の結晶構造と考えられる六方最密充填(hcp)構造の鉄の熱伝導率には大きな結晶方位異方性があることを確認した。その結果は30年度に査読あり学術雑誌に掲載された。しかし、このhcp鉄の結晶方位異方性を考慮しても先行研究との相違が説明できないことから伝統的に用いられていた金属の熱伝導率と電気抵抗率との関係式に補正が必要な可能性がある。そこで、内部抵抗加熱方式を用いたダイヤモンドアンビルセルに鉄を封入し、固体純鉄の電気抵抗率と熱伝導率の同時測定を行った。その結果、50万気圧を超える高圧かつ高温の条件では常圧条件で得られた経験式が成り立たず、補正が必要であることが示唆される。熱伝導率の結晶方位異方性が確認されたことで、本課題において当初予定していた実験には、必ずX線回折測定などを用いた結晶選択配向の評価が必要なことがわかったため、最終年度前年度応募として基盤A課題への移行を行うこととなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
Frontiers in Earth Science
巻: 6 ページ: 176
10.3389/feart.2018.00176
Physics and Chemistry of Minerals
巻: 45 ページ: 589~595
10.1007/s00269-018-0944-3
http://kenjiohta-uhpr.sakura.ne.jp/Kenji_Ohtas_homepage/Welcome.html
https://researchmap.jp/7000018082/