本研究は原始地球においてペプチドを主成分とする液滴を形成し、その液滴から最初の生物が誕生したとするオパーリンのコアセルベート仮説を支持するものである。当初は核酸と堅固な膜を用いた原始細胞を構築する予定だったが、膜と核酸の相互作用が強く、核酸の情報を膜に伝達することが困難だったため、個体組成を情報とするコンポソームの概念を取り入れ、より原始細胞に近い単純な物質から原始細胞モデルを構築することができた。 本モデルは、チオエステル骨格を持つ分子を常温常圧の水に添加することで、20マイクロメートル程度の液滴の自発的形成が認められた。さらに合成した分子を添加すると、液滴は肥大と分裂を繰り返し、増殖した。
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