今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、金属結合部位として銅もしくはニッケルイオンに対して選択的に結合するATCUN(Amino Terminal Cu(II)- and Ni(II)-binding Motif)配列(X1-X2-His)に着目する。第1段階として、分子量10kDa程度のタンパク質のN末端にこれら配列を結合させ、Niセファロースを用いてその結合から金属結合能を評価した。また、Xの位置のアミノ酸を最適化しながら、アフィニティークロマトグラフィーによるワンステップ精製が可能かどうか判断し、金属結合配列の最適化を行う。 結合配列の進捗に合わせてATCUN配列後の数残基に二つのアミノ酸を導入し、その組み合わせと挿入位置を変えることで、天然にはない少なくとも4種類のCPDC形成に挑戦する。天然で見られるCPDCの構造から、自己修飾によって生じた簡単なPDCが二種類の反応経路(Path A:キノンもしくはカルボニル化合物への求核付加反応, Path B:水素原子引き抜きに伴って生じたラジカル分子のラジカルカップリング)で生成すると考えられる。そこで、前者ではCys, His (Lys, Tyr)などの求核性アミノ酸を導入したペプチドを作製し、架橋構造形成の有無を確認する。また、後者では、近傍にTyrやMetを追加導入し、いくつかの金属結合ペプチドの配列を用いるとともに、リンカー部位の配列・長さ(1-3残基, Gly, Ser, Gly-Gly, Gly-Ser, Gly-Gly-Gly, Gly-Gly-Ser)の最適化を行うことで反応効率を向上させる。
|