研究実績の概要 |
平成29年度は、本研究で使用する金属ナノ粒子担持配位高分子(M/MOF)を作製し、その構造、電子状態について明らかにすることを目標とした。具体的には、Ptを金属種として選択し、アークプラズマ蒸着法を用いて同一粒径・同一担持量のPtを担持したHKUST-1, Zn-MOF-74, Mg-MOF-74, UiO-66-NH2等の金属-配位高分子複合触媒を作製した。界面相互作用について考察するため、X線光電子分光、CO化学吸着およびH2化学吸着による表面分析を行ったところ、活性なPt表面積はどの試料も同じであるが、その電子状態が大きく異なり、金属ナノ粒子と配位高分子間で電子的相互作用が起きていることが分かった。また、Ptの電子状態に敏感なCO酸化触媒反応試験を行ったところ、各試料で大きく触媒活性が異なることがわかり、配位高分子金属ナノ粒子との界面相互作用により触媒活性が制御されていることがわかった。また、その原因について考察するため、第一原理計算により担体である各配位高分子の仕事関数を求めた結果、電子供与的な担体ほどPtへ電荷を供与していることがわかり、担体の電子状態がPtの触媒活性の制御に寄与していることを明らかとした。これは気相の不均一触媒における配位高分子の担体効果を系統的に明らかにした初めての例であり、これらの結果をまとめた論文を作成し、海外一流学術誌であるChemical Communicationsに採択された。また、電子状態の異なるPtナノ粒子に関して、電気化学的触媒反応における触媒活性の担体依存性についても一定の知見を得ることに成功した。
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