本研究では、金属-多孔性配位高分子(PCPまたはMOF)間相互作用に基づいて起こる、触媒反応における配位高分子の担体効果を明らかにすることを目的とし、具体的には、担体効果の主たる三要素である分子篩効果、電荷移動、担体の基質吸着のうち、金属-配位高分子界面での相互作用が重要となる電荷移動および担体の基質吸着について焦点を絞り、配位高分子が金属-配位高分子間相互作用に由来する担体効果を発現し得るのかについて検証を行った。 金属-配位高分子間の電荷移動に由来する担体効果については、電子状態の異なる配位高分子担体上に同様の粒径・担持量で白金を担持した金属-配位高分子複合体を作製し、それらの電子状態と触媒活性をX線光電子分光測定およびCO酸化触媒反応により評価した。その結果、担持された白金の電子状態は担体との電荷移動により著しく異なることを明らかとし、担体の電子状態と触媒活性の間には明確な相関が存在することを確認し、配位高分子が触媒担体として電荷移動に由来する担体効果を発現し得ることを明らかとした。 配位高分子の基質吸着能に由来する担体効果については、担体の基質吸着力が重要な因子となる酢酸還元触媒反応を用いて評価した。カルボキシル基やアミノ基など異なる官能基を有する配位高分子担体を合成し、それらの基質吸着能を評価するとともに、同様の粒径・担持量で白金を担持した金属-配位高分子複合体を作製し、それらの触媒活性について評価を行った。その結果、塩基性基であるアミノ基を有する配位高分子が最も高い基質吸着特性を示すとともに、最も高い触媒活性を示すことを明らかとし、配位高分子による基質の吸着により触媒担体効果が発現することを明らかにした。
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