研究課題/領域番号 |
17H04892
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高分子合成 / 微粒子合成 / 乳化重合 / 微粒子集積 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、高分子ハイドロゲル微粒子に疎水性部位を有した複合型ハイドロゲル微粒子の開発を行った。これまでは特に、脱水和したゲル微粒子コアの存在下において油溶性モノマーのシード乳化重合を実施してきたが、コアゲル微粒子が水膨潤状態においても油溶性モノマーと高効率に複合化する事を見出した。その理由が最初は不明確であったが、膨潤ゲルをコアに用いる場合は、コア表面に荷電基を局在させる事が鍵であった。アクリルアミド誘導体に対し、フマル酸を共重合させることで目的のコアゲル微粒子を得た。また、ゲル微粒子内部の疎水性部位を3Dトモグラフィーにより解析を行い、定量的に複合ナノ構造の立体構造を明らかにすることに成功した。以上の検討結果を踏まえ、コアゲル微粒子の構造を制御する事によって、新たな階層構造を有する複合ゲル微粒子の作製を検討中である。 上記で得られた複合ゲル微粒子、または硬質微粒子に対して膜延伸法を活用する事で高アスペクト比を有する複合ゲル微粒子を作製した。得られたゲル微粒子は光学顕微鏡観察下ではっきりと観察可能であり、気水界面において配列化検討を実施した。昨年度に解明したゲル微粒子のサイズ・やわらかさ・化学種等が、気水界面での配列化に与える影響に加え、新たに高アスペクト比を有するゲル微粒子の異形構造が配列化に与える影響を明らかにした。すなわち、気水界面に吸着した高アスペクト比を有するゲル微粒子は、長軸同士が配向し、希薄微粒子条件下においては、最大数百マイクロメートルの構造体を形成させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
異形構造を有するゲル微粒子特有の配列化挙動を見出し、定量的な解析を実施して、タンパク質分子等との類似性を見出す事ができたため。またその内容を、学術論文に投稿する事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
申請テーマの中で残された課題は、主にハイドロゲル微粒子の刺激応答性を活用した配列制御である。界面でのゲル微粒子の挙動が予想通りの結果にならない事や、観察手法が困難であることが大きな課題であるが、これらの点を克服して、研究3年目は、研究課題の目的達成を目指す。
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