研究課題/領域番号 |
17H04902
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
荒船 博之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90707811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポリマーブラシ / イオン液体 / トライボロジー |
研究実績の概要 |
表面と接触面を包括的に扱うトライボロジー分野は機械機器の摩擦特性改善による高効率・長寿命なプロセス開発に寄与することが期待されている。高密度かつ均一に集積した濃厚ポリマーブラシは摩擦係数≦10-3の低摩擦コーティングとして期待される一方、高負荷や低速・高温条件下において生じる潤滑油膜の喪失による摩擦増大や摩滅などの抑制が課題として挙げられる。本研究ではイオン液体中におけるポリマーのダイナミックな構造変化を利用した粘度制御、およびポリマーブラシ骨格への外部刺激応答性部位を導入することで潤滑油膜の自発的保持および外部刺激による能動的な潤滑特性制御を行い、実用に耐えうるロバストな低摩擦系の創製を目的とした。 本年度は各種イオン液体中での潤滑特性評価からイオン液体型濃厚ポリマーブラシ層のレオロジー特性について検証を行った。アニオンおよびカチオンの組み合わせにより、親水性および疎水性イオン液体11種について摩擦試験を行い、得られたストライベック線図から潤滑特性評価を行った。その結果、各種イオン液体で膨潤したイオン液体型濃厚ポリマーブラシ系のほとんどが同一のストライベック線図に収束した一方、高粘度イオン液体で異なる挙動が得られ、耐久性向上につながるポリマーブラシ系についての設計指針が得られた。また、ポリマーブラシ層におけるレオロジー特性解析と制御を念頭に、水晶振動子マイクロバランス装置の導入と並行して、測定基板表面への厚膜ポリマーブラシのその場重合条件を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、想定していた水晶振動子マイクロバランス装置の購入が難しくなりその代替品の選定と予備試験に時間を要したため、ポリマーブラシ層におけるレオロジー制御の検証に遅れが生じた。一方、ポリマーブラシ層におけるレオロジー制御にあたり高粘度イオン液体で従来と異なる挙動が得られ、添加剤以外での耐久性向上の指針が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
得られたレオロジー解析系をベースに、添加剤導入前後でのポリマーブラシ層のレオロジー特性の変化から、その特性解析と制御を行いポリマーブラシ層におけるレオロジーの自発的または能動的制御の指針を得る。またポリマーブラシ層の摩耗への対策として、自己修復性を有するブラシ系の構築を並行して行う。
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