研究課題
本研究は昆虫後翅の収納・展開機構の研究を軸に,外骨格生物特有の骨格の弾性を利用した高速変形メカニズムを解明することで,巨大な宇宙構造から微小な医療デバイスまで様々な用途・スケールで応用可能な新しい形状可変機構の設計手法を構築することを目的とする.様々な生物の「形」と「動き」の工学原理を解明し,機械システムに応用する応用する構造系バイオミメティクスの統一的なアプローチを確立すると共に,次世代の多品種少量生産・高付加価値のものづくりを加速する“組み立て不要の機械”の核心技術を構築する.平成30年度に実施した主な研究成果は「カブトムシ型展開翼の羽ばたきドローンへの実装」「3Dプリンタを用いた羽ばたきドローンの基礎設計」「3Dプリンタによる翅構造の試作」の3件になる.以下に概要を述べる①カブトムシ型展開翼の羽ばたきドローンへの実装:カブトムシを初めとする大型甲虫の翅の折り畳みにみられる特徴的なパターンを折紙の幾何学によって解析し,その設計法を明らかにした.得られた知見をもとに,カーボンフレームを不織布を使った大型模型の試作と,羽ばたきドローンに搭載する展開翼の設計を行った.②3Dプリンタを用いた羽ばたきドローンの基礎設計:展開翼を実装するための羽ばたきドローンの基礎設計を行った.汎用のFDM型3Dプリンタを用いて製造可能な羽ばたき機構を調査し,モータを動力とする小型ドローンの試作を行った.③3Dプリンタによる翅構造の試作:これまで研究してきた様々なタイプの昆虫の翅を製造可能な高い汎用性を持つデジタルファブリケーション技術の開発に取り組んだ.
2: おおむね順調に進展している
本研究は,【①三次元計測・運動解析技術による形と動きのデータ化】,【②モデル化とシミュレーション・実験による検証】,【③人工物による動きと機能の模倣】の3つのフェーズで進行する計画であった.3年目に入り,①,②の知見を十分蓄積でき,予定通り③のフェーズに順調に進行できたことから,おおむね順調に進展していると評価する.
当初の計画通りに進行しているため,基本的にこのまま研究を推進する.2019年1月から研究代表者の所属が変更となり,九州大学芸術工学研究院へ着任し,新たなデジタルファブリケーション機器や工房の設備を使用することが可能になった.次年度はこれらの設備を活用しつつ,デジタルファブリケーション,デザイン分野へのアウトプットを加速していきたい.
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Origami 7: Proceedings from the seventh meeting of Origami, Science, Mathematics and Education
巻: 3 ページ: 747-762
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