研究課題
本研究は昆虫後翅の収納・展開機構の研究を軸に,外骨格生物特有の骨格の弾性を利用した高速変形メカニズムを解明することで,巨大な宇宙構造から微小な医療デバイスまで様々な用途・スケールで応用可能な新しい形状可変機構の設計手法を構築することを目的とする.様々な生物の「形」と「動き」の工学原理を解明し,機械システムに応用する応用する構造系バイオミメティクスの統一的なアプローチを確立すると共に,次世代の多品種少量生産・高付加価値のものづくりを加速する“組み立て不要の機械”の核心技術を構築する.2020年度に実施した主な研究成果は「3Dプリンタを用いた翅構造のプロトタイピングと羽ばたきドローンへの応用」「ハサミムシ後翅の折り畳みメカニズムの工学応用」の2件になる.以下に概要を述べる.①3Dプリンタを用いた翅構造のプロトタイピングと羽ばたきドローンへの応用:これまで研究してきた様々なタイプの昆虫の翅を製造可能な高い汎用性を持つデジタルファブリケーション技術の開発に取り組んだ.フィルム上に翅脈を直接プリントすることで,様々な種類の翅を製造可能な汎用性の高い方法を開発した.この手法によって,カブトムシを初めとする大型甲虫の翅の折り畳みに基づく展開翼,セミの翅のカップリング翼,トンボの翅のボロノイパターンを利用した翼の機械的特性の設計の3つの翼のプロトタイプを設計するとともに,羽ばたきドローンへの実装を行った.②ハサミムシ後翅の折り畳みメカニズムの解明:オックスフォード大学自然史博物館の研究者と共同で昆虫の中で最もコンパクトに翅を折り畳むハサミムシの後翅の展開図を設計するための幾何学的パターンを解明した.研究成果は米国科学アカデミー紀要の表紙を飾るなど,大きな反響があった.開発した展開図設計法を基に,展開構造のプロトタイプや,展開型屋根の設計を行った.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 117 ページ: 17622 - 17626
10.1073/pnas.2005769117