令和1年度は、昨年度までに構築したピッチフォーク分岐を利用した多脚ロボットの旋回制御系を改良することで、機動性の高い歩行だけでなく、自律的な歩行も可能にする制御系の構築を目的とした。 これまでの研究では、床の上に置かれた一つのターゲットに一度の急旋回を介して接近させる歩行実験を対象に、多脚ロボットの歩行力学系に内在するピッチフォーク分岐を利用する旋回制御系を構築し、効率良くスムーズな急旋回が実現できることを多脚ロボットの実機実験を通して実証してきた。しかしながら、この実験では歩行タスク中に一度の旋回しか考慮しておらず、多脚ロボットが自律的な歩行を実現するためには、状況に応じて何度も旋回するなど適宜進行方向を変える必要があった。更にその際、進行方向や曲率などその時々の状況に応じて最適な旋回条件が異なってくるため、それらの計算方法や実機実験における実現方法を確立する必要があった。そこで、床の上にターゲットを複数用意し、連続的にそれらのターゲットに接近させることで様々な条件での旋回を行う歩行実験を対象とした。そして、多脚ロボットの体軸剛性が可変となるように改良し、ピッチフォーク分岐の特性に基づいて多脚ロボットとそれぞれのターゲットの状態に依存した最適戦略を構築することで、効率良くスムーズに自律的な歩行が実現できることを多脚ロボットの実機実験を通して実証した。現在これらの成果をまとめ、学術論文誌に投稿する準備中である。
|