研究課題/領域番号 |
17H04926
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
竹井 邦晴 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20630833)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | フレキシブルセンサ / pHセンサ / CCD / 健康管理 / ハイブリッドデバイス |
研究実績の概要 |
本研究では化学センサと物理センサを融合した新規ウェアラブル健康管理デバイスの開発を目指している。昨年度までは汗中のpH値を高感度計測する電荷転送(CCD)型フレキシブル化学センサの開発等を実施してきた。本年度は、開発したCCD型化学センサ、温度センサ、圧力センサ等を集積したハイブリッド型化学・物理検出機能集積フレキシブルパッチの開発を行った。特に、汗中のpH値や皮膚温度、心電図に加え、呼吸数を計測できるセンサの開発に成功した。本呼吸センサは、歪みが大きく加わらない新規構造を提案することで、その他のセンサ同様に長時間安定した計測が可能になった。また健康管理デバイスの一つの応用先として熱中症対策デバイスを提案し、それに向けた取り組みのセンサ開発も同時に行った。その重要なバイタル情報として、発汗量を継続的に安定して計測するフレキシブル湿度センサを開発した。湿度センサの安定駆動を証明するため、植物の葉の表面から放出される水蒸気を2週間程度、リアルタイム計測するなどに成功している。 次に実用化へ向け、皮膚温度を外気温に関係なく精度高く計測する構造の開発、汗をリアルタイムで連続的に計測するフレキシブル循環システムの開発などフレキシブルデバイスシステムとしての開発を行った。また2020年度に予定していたハイブレッド型多機能フレキシブルセンサシートを無線で計測するシステムの開発にも成功し、実際に人へ貼付することでバイタル情報をリアルタイム計測出来るようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画は、CCD型化学センサの更なる解析及び、本化学センサに加え物理センサを集積させたフレキシブルセンサシートの開発を行う内容であった。本内容に関しては予定通り実施することが出来た。これら内容に加え、2020年度に予定していたハイブレッド型多機能フレキシブルセンサシートとして、無線回路や信号処理回路(マイコンなど)のシステム開発を実施し、実際に本無線センサシートを用いて人のバイタル信号を常時リアルタイム計測することに成功している。さらに本研究の発展から、応用分野を考慮したデバイス開発として、熱中症対策センサシートへと展開し、予定していなかった新しいセンサ材料及び構造等の開発に進んでいる。上記事項から、研究の進捗状況として「当初の計画以上に進展している」と判断することができる。 ただし、当初予定していたCCD型化学センサによる匂い計測に関しては、感応膜の開発が難しく、また一つのにおいのみを計測しても健康管理としては利用が困難であることがわかったため中止したことを明記しておく。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、開発したハイブリッド化学・物理フレキシブルセンサシートの「安定性向上」「更なるセンサ機能追加」「システムの最適化」「計測アプリ開発」について研究開発を実施する。特に熱中症早期検知の応用に向け、発汗センサの開発及び集積化を目指す。また本格的な実証試験に向け、システム回路の低消費電力化及び小型化、さらに計測データを保存及びリアルタイムモニタリング出来るアプリの開発も行う。
|