本研究の目的は,人体通信機器のサイズや装着箇所,利用形態といった条件に対して,高性能・低消費電力な機器の設計指針を示すことである.具体的には利用形態として「単一ユーザ内の通信」,「複数ユーザ間の通信」,「設置型機器を含む通信」などを想定し,開発した電磁ファントムおよび数値人体モデルに加えて実人体による被験者実験を行い,人体周辺の電磁界分布や送受信特性などを評価した.これらの検討により,人体通信システムの物理層において重要となるアンテナ電極やフロントエンド回路設計の定量設計法をまとめた.さらに検討過程で,人体通信用の電極を用いて生体からの電磁応答を測定することにより複数の生体信号を検出可能なことが明らかになり,人体通信と生体信号計測を統合したアプリケーション開発の足がかりを築いた.
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