• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

低温窒化法による酸窒化物の合成と電子構造制御による機能性の発現

研究課題

研究課題/領域番号 17H04950
研究機関北海道大学

研究代表者

三浦 章  北海道大学, 工学研究院, 助教 (10603201)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード酸窒化物 / 低温合成
研究実績の概要

酸窒化物は、大気中の主要元素である酸素と窒素によって物質の電子構造を自在に制御することができ、新規材料開発においてますます注目されている。本研究では、申請者らが開発した固体源のアミドを用いた酸化物の低温窒化法を用いて、酸素と窒素の量によって電子構造を精密に制御した酸窒化物の粉末や薄膜の合成を行うこと、およびそれらの化合物の新たな機能性を引き出すことを目的としている。
初年度は新規酸窒化物粉末合成として、出発原料の検討を行った。ナトリウムアミド、水酸化物、塩化物を混合することで、ペロブスカイト型酸窒化物の合成に成功した。混合方法や出発試料の混合比を変化させることで、反応の最適化をおこなった。この反応は瞬間的に起こり、急激な発熱を伴う反応であることを、反応の直接観察及び熱力学的考察より明らかにした。また、有機溶媒を加えることで出発原料の混合を均一化することができ、不純物相が少ない合成手法の開発にも成功した。これらの研究成果は、学術論文として発表された。
また、薄膜合成においては、合成した酸化物の薄膜とナトリウムアミドの処理によって膜の窒化を試みたが、薄膜が剥げてしまい窒化することはできなかった。そこで、室温プラズマ処理による窒化を行い、窒素が膜中から検出されたことから低温での窒化が成功した考えられる。電子移動度やキャリア濃度が変化していることから、窒化処理によって電子構造が変化したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水酸化物、塩化物とナトリウムアミドの反応を用いた酸窒化物の合成に成功した。これらの反応は、新たな反応場としての展開が期待できる。また、酸化物膜の合成およびその低温窒化に成功した。すでにこれらの成果の一部は、学術論文として公開されている。さらに、窒化物の前駆体としてインジウムカルコゲナイドの探索も並行して行っており、これらの研究は期待以上に進行している。その一方で、本年度は予期していなかった新たな反応場が見つかったため、酸化物とナトリウムアミドとの反応機構を詳細に調べるための実験が若干遅れている。研究計画全般としては、今年度の知見を活かして来年度以降の研究を行えることから、研究はほぼ順調に進行しているといえる。

今後の研究の推進方策

研究計画二年目にあたる本年度は、新規反応場の探索、反応機構の解明、また電気化学触媒としての評価に重点を置き、研究を進めていく予定である。新規反応場としては、溶媒中での反応にも着目し実験を進めていく。反応機構の解明に関しては、粒径やカチオン・アニオン比を変えた出発試料の窒化反応を行うことで、窒化反応に重要な因子を特定し、合成機構を提案する。また、酸素還元触媒能の評価に向けての準備がすでに整っているので、本年度は合成した酸窒化物の評価をすすめ、組成・電子構造・機能性の関連性を調査する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] Explosive Reaction for Barium Niobium Perovskite Oxynitride2018

    • 著者名/発表者名
      Odahara, Jin; Miura, Akira; Rosero-Navarro, Nataly Carolina; Tadanaga, Kiyoharu
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 57 ページ: 24-27

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.7b02660

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis, Crystal Structure and Optical Absorption of NaInS2-xSex2018

    • 著者名/発表者名
      Takahashia, Natsuumi; Ito, Hiroaki; Miura, Akira; Rosero-Navarro, Nataly Carolina;Goto, Yosuke; Mizuguchi, Yoshikazu; Moriyoshi, Chikako; Kuroiwa, Yoshihiro; Nagao, Masanori;Watauchi, Satoshi; Tanaka, Isao; Tadanaga, Kiyoharu
    • 雑誌名

      Journal of Alloys and Compounds

      巻: 750 ページ: 409-413

    • DOI

      10.1016/j.jallcom.2018.03.407

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Low-Temperature Synthesis and Rational Design of Nitrides and Oxynitrides for Novel Functional Material Development2017

    • 著者名/発表者名
      Miura, Akira
    • 雑誌名

      Journal of the Ceramic Society of Japan

      巻: 125 ページ: 552-558

    • DOI

      10.2109/jcersj2.17055

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] BaM(O,N)3 (M=Nb, Ta)の爆発合成2018

    • 著者名/発表者名
      小田原仁・三浦章・Nataly Carolina Rosero-Navarro・忠永清治
    • 学会等名
      化学系学協会北海道支部2018年冬季研究発表会
  • [学会発表] 室温窒素プラズマ照射による酸化インジウム薄膜への窒素ドープ手法の開発2017

    • 著者名/発表者名
      成瀬雅浩・三浦章・樋口幹雄・忠永清治
    • 学会等名
      日本化学会北海道支部2017年夏季研究発表会
  • [学会発表] Hexane-Assisted Synthesis of BaNbO2N2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Miura, Jin Odahara, N.C. Rosero-Navarro, Kiyoharu Tadanaga
    • 学会等名
      9th International Symposium on Nitrides & International Symposium on SiAlONS and Non-oxides
    • 国際学会
  • [学会発表] NaNH2を用いたBaNbO2Nの合成2017

    • 著者名/発表者名
      小田原仁・三浦章・Nataly Carolina Rosero Navarro・忠永清治
    • 学会等名
      平成29年度日本セラミックス協会東北北海道支部研究発表会
  • [学会発表] 酸化インジウム薄膜の室温プラズマ窒化と電気特性2017

    • 著者名/発表者名
      成瀬雅浩・三浦章・Nataly Carolina Rosero Navarro・樋口幹雄・忠永清治
    • 学会等名
      平成29年度日本セラミックス協会東北北海道支部研究発表会
  • [学会発表] Liquid-Phase Synthesis of Energy Materials with Multiple Anions: Mn(O,N) Electrocatalyst and Li6PS5Br Electrolyte2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Miura, Nataly Carolina Rosero-Navarro, Kiyoharu Tadanaga
    • 学会等名
      The 7th Advanced Functional Materials and Devices
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] リサーチマップ

    • URL

      https://researchmap.jp/amiura/

  • [備考] 無機合成化学研究室

    • URL

      http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/inorgsyn/

  • [備考] 北海道大学研究者総覧

    • URL

      https://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.utqoGJX7-oVpr36A-zjM1Q==.html

  • [備考] Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=_vPBvrAAAAAJ&hl=en

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi