研究課題
強誘電体・圧電体は不揮発性メモリやアクチュエーターなど様々な用途で実用化され、我々の生活を支えている。代表的な材料はペロブスカイト型酸化物PbZrO3とPbTiO3の固溶体Pb(Zr,Ti)O3であるがPb(鉛)は環境・人体に有害な元素であるため、世界各国でその規制が進められている。このような状況のもと、非鉛の代替材料の開発が求められている。本研究では「分極回転」を利用することで、巨大な圧電応答を示す非鉛圧電体薄膜を実現することを目的としている。2016年に代表者らが報告した、単斜晶構造を有する(001)配向のBiFe1-xCoxO3薄膜における、分極回転機構により圧電特性が向上するという知見をベースとして、分極回転の効果を最大化するための材料設計を行う。これまでに(101)配向のBiFe1-xGaxO3薄膜の作製に成功しており、(001)配向の薄膜に比べて、圧電特性が向上することを見出した。今年度は、圧電特性向上の機構解明を目指し、薄膜の結晶構造を詳細に調べた。X線回折による逆格子マップ、および薄膜の断面方向からの透過電子顕微鏡観察により構造解析を行った結果、BiFe1-xGaxO3薄膜は巨大なc/a比の単斜晶構造を有していることが明らかになった。単斜晶構造において配向制御により分極が回転する余地を増やすことで圧電特性が向上することを証明できたことは、分極回転という圧電体の材料設計指針を実証できた点で重要な成果である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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