研究課題
本研究では、カーボンナノチューブが有する特異的なクーロン相互作用空間と、閉じ込めた分子集団を一方向に並ばせる性能を最大限に有効活用し、磁性イオン液体との複合化により1次元強磁性材料の合成を目指した。最終年度である本年度は1)イオン液体がカーボンナノチューブ細孔中で形成する特異な長距離秩序性のX線散乱測定からの検討及び2)磁性イオン液体とカーボンナノチューブとの複合化による長距離秩序構造の形成を行った。1)では、放射光施設であるあいちシンクロトロン光センターの粉末X線散乱測定ラインBL5S2ラインを利用し、細孔径(1.5 nm及び2.0 nm)の異なるカーボンナノチューブに閉じ込めたイオン液体構造についての測定を行った。さらに分子シミュレーションを組み合わせた構造解析手法により、細孔径が1.5 nmのカーボンナノチューブ細孔中では、細孔径とイオン2つ分の大きさがよく一致するため、特異な2次元規則性配列が形成されることを突き止めた。2)では、カーボンナノチューブと磁性イオン液体を混合するだけで、複合材料が結晶様の規則構造を形成することを明らかにした。このことは本研究の目標である、『カーボンナノチューブの有する1次元ナノ空間を利用することで磁性イオンを著距離配列させ新規磁性材料得る』ことができたことを強く支持している。今後の展開として、この磁性イオン液体-カーボンナノチューブ複合材により配向性膜を合成することで、既存の磁気記憶デバイスでは成しえない、1ドットが分子サイズ(~1 nm)の超高容量記憶デバイスの開発につなげることが期待できる。このためには、カーボンナノチューブ細孔中での磁性イオン液体の詳細な構造解析が不可欠であり、さらなる検討が必要である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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