研究課題/領域番号 |
17H04955
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松垣 あいら 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10592529)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 骨配向性 / 骨芽細胞 / アパタイト / 細胞配列 / 直交配向 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、材料工学に細胞生物学を導入することで、「骨配向性」が骨芽細胞配列度合いに応じて決定されることを初めて見出した。本研究課題では、材料工学をベースにして初めて見出された、材料表面形状に応じて発現する「直交性骨配向化」機構解明とその原理に基づく生体材料創製に取り組んでいる。具体的には、以下の項目について研究を実施した。 (A)直交性骨配向化機構解明 (A1)リソグラフィやレーザ加工などの微細加工技術を駆使し、ナノメートルオーダー~マイクロメートルオーダーまでの溝パターン制御基板を作製した。材料表面の溝サイズに応じて、骨芽細胞は異なる接着・細胞配列化応答を示すことを明らかにした。(A2)細胞ー材料表面における接着斑を介した相互作用に着目し、溝サイズに応じた細胞接着様式を定量的に明らかにした。接着斑形態は溝サイズに応じて変化し、さらにはその機能発現を調整することが見出された。(A3)材料工学的手法(微小領域X線回折法、特殊仕様レーザラマン顕微鏡等)および生物学的手法(免疫細胞化学)に基づき、アパタイトおよびコラーゲン配向性を定量解析した。骨配向化方向(平行性/直交性)を決定する材料表面の溝サイズ閾値が明らかになった。 (B)自在な骨配向化誘導のための生体材料創製 レーザ照射による自己組織化反応を利用し、ナノメートルオーダーの表面起伏を形成・制御した。材料組成および照射レーザ波長に応じて、異なる表面形状が形成されることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載のとおり、本年度(平成29年度)に計画していた項目は、一部計画を前倒ししつつ遂行した。特に、骨配向化方向(平行or直交)を決定する基板表面の溝サイズ同定に成功したことは極めて意義深い。以下に、代表的な項目ごとの進捗を示す。なお、記号の意味は、◎:当初の計画以上に進展、〇:計画通り進展、とする。
①材料表面の溝パターン制御(〇)、②細胞配列化と接着斑形態の相関解明(〇)、③材料表面の溝サイズに応じて「平行性」or「直交性」骨配向化が転換する閾値の解明(◎)、④骨配向化誘導のための材料創製(〇)
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度に計画していた研究項目は、一部計画を前倒ししつつ進展し、骨配向化方向を決定する材料表面形状サイズの閾値が同定されたことから、今後は、材料表面形状―細胞間の相互作用を介して骨配向化を決定する分子メカニズム解明および新規生体材料創製に重点を置きつつ、研究を推進する。
|