研究課題
最終年度では、主に1GPa級の複相鋼およびオーステナイト鋼を対象材料として、本課題でこれまでに構築した(1)水素の偏析の可視化、(2)複数機構に由来する水素助長損傷発達(ボイド/き裂の成長)の定量評価、(3)バルク試料における水素-転位相互作用の直接観察、の三つを発展させた。(1)水素の可視化の観点では、水素分布を大きく変化させる相変態に着目し、変態による水素分布変化の解析法を銀デコレーション方を基に構築した。これにより、銀デコレーション方が実用上最重要な複相鋼の一つである複相TRIP鋼にも重要な知見を与えることができるようになった。(2)水素助長損傷発達の観点では、それまで構築した損傷発達挙動解析手法を水素脆化感受性のひずみ速度依存性の原因解明のために用い、微小き裂のアレスト能にもひずみ速度依存性が存在することを明らかとした。これに加え、損傷の最小サイズである空孔密度測定を陽電子消滅法を用いて測定し、原子スケールから数十μmスケールまでのマルチスケール損傷発達解析法を構築した。(3)最後に水素-転位相互作用の観察については、電子チャネリングコントラスト法によるその場観察法を発展させ、微小き裂周辺の転位運動その場観察とその場き裂進展実験(CT試験)も可能にしただけでなく、MITなどと連携し、原子シミュレーションや力学解析と連成させた解析法を構築した。上記解析を通して得た知見から、き裂の力学場、相安定性ならびに転位プラナリティに基づく新耐水素鋼創製指針を示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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