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2017 年度 実績報告書

鋼の3次元構造組織制御と残留オーステナイト制御による延性向上指針の構築

研究課題

研究課題/領域番号 17H04958
研究機関東京大学

研究代表者

南部 将一  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (00529654)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード組織制御 / 鉄鋼材料 / 強度 / 延性
研究実績の概要

本研究では、複雑な3次元連続構造を有する新規複相鉄鋼材料の革新的な強度・延性バランスの実現を可能とするため、3次元連続構造の組織形態について3次元的な計量形態学に基づいた評価を行い、その組織の特徴値と力学特性との関連性について明らかにし、さらに3次元連続構造を有する残留オーステナイトについて3次元組織解析および結晶塑性有限要素法を用いた応力場解析による検討を行い、その加工誘起変態挙動を解明することで、3次元連続構造の組織形態の制御指針および残留オーステナイトの制御指針を構築することを目的とする。
H29年度では、3次元連続構造の組織形態制御のため、高強度相であるマルテンサイトおよびベイナイトの3次元組織形態について検討した。3次元連続構造を有するための組織制御の指針を構築するためにはマルテンサイト変態およびベイナイト変態における組織形成過程を3次元的に明らかにする必要がある。そこで、変態途中の組織を有する試料を作製し、これらに対して全自動シリアルセクショニングが可能なGenus_3Dを用いて研磨および観察を逐次的に行い、さらに得られた結果から3次元組織の構築を行いその組織を評価した。また、残留オーステナイトの加工誘起変態制御のため、残留オーステナイトの引張変形中のその場観察を行い、SEM/EBSDによる結晶方位解析や画像相関法によるひずみ分布解析を合わせることで、残留オーステナイト中の応力、ひずみ場と加工誘起変態箇所について検討した。その結果、残留オーステナイトの大きさや形態によって加工誘起変態挙動が異なることを明らかにした。さらにシミュレーションとして、DREAM3Dを用いた高強度相と高延性相からなる3次元組織の構築、得られた組織に対して結晶塑性有限要素法による力学特性評価を行い、組織と力学特性の関係や、高延性相(残留オーステナイト相)中の応力場について評価した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験および計算において高強度相と高延性相からなる3次元組織を構築し、組織と力学特性の関係について一定の成果を挙げている。また残留オーステナイトの加工誘起変態挙動についても実験および計算の両面で成果を挙げており、初年度の目標をおおむね達成しているといえる。

今後の研究の推進方策

複雑な3次元連続構造を有する新規複相鉄鋼材料の革新的な強度・延性バランスを実現する、3次元連続構造の組織制御と残留オーステナイト制御の指導原理を構築するため、本年度はそれぞれの研究項目について以下のように研究を進める。
(1)3次元連続構造の組織形態制御
前年度に引き続き、作製した複相鉄鋼材料に対してシリアルセクショニング3D観察を行い、3次元組織の取得とその組織特徴値の抽出を行い、力学特性との関連性について検討する。さらに3次元組織を構築可能なシミュレーションソフトDREAM3Dによる3次元組織の作製および評価を行い、これら組織と力学特性の関連について結晶塑性有限要素法によって検討を行う。以上の実験および計算の両面から3次元組織と力学特性の関連について明らかにする。
(2)残留オーステナイトの加工誘起変態制御
残留オーステナイトの3次元的な形態を評価するため、作製した複相鉄鋼材料に対してFIB-SEM/EBSDによりその組織形態を評価する。さらに加工誘起変態した場所やひずみ量との関連について実験と計算の両面から検討し、加工誘起変態挙動に及ぼす影響因子について明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] In-situ observation of transformation behavior of lath martensite in steels with various strength of austenite2017

    • 著者名/発表者名
      S. Nambu、 T. Moriguchi、 T. Koseki
    • 学会等名
      International Conference on Martensitic Transformations
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of structural materials with improved properties2017

    • 著者名/発表者名
      S. Nambu、 T. Koseki
    • 学会等名
      International Symposium on Innovative Process Design for Structural Materials
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Variant selection in primary and secondary nucleation of bainite in steels with various carbon contents2017

    • 著者名/発表者名
      S. Nambu、 R. Hattori、 M. Ojima、 T. Koseki
    • 学会等名
      Materials Science & Technology 2017 Conference & Exhibition
    • 国際学会
  • [学会発表] 中・高炭素鋼における粒界から生成したベイナイトの結晶学的解析2017

    • 著者名/発表者名
      南部将一、服部涼介、小島真由美、小関敏彦
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第174回秋季講演大会
  • [学会発表] 鋼中の酸化物からのベイナイト変態の結晶学的検討2017

    • 著者名/発表者名
      愛須優輝、南部将一、小関敏彦
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第174回秋季講演大会
  • [学会発表] 高炭素鋼中の残留オーステナイトの加工誘起変態挙動2017

    • 著者名/発表者名
      北川冬馬、南部将一、小関敏彦
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第174回秋季講演大会

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公開日: 2018-12-17  

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