研究課題/領域番号 |
17H04967
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 淳皓 近畿大学, 理工学部, 助教 (50748390)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プラズモニック光触媒 / 金属ナノ粒子 / 太陽エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究では,金粒子の粒径,金属酸化物上への接合状態を制御すること,また,異種金属(助触媒)を巧みに組み合わせることにより,光応答性制御による広範囲な可視光吸収の達成を目指す.交付申請書の「研究実施計画」には「金プラズモニック光触媒による水分解反応」を記載した.プラズモニック光触媒を用いた水の分解反応において,水の酸化反応による酸素生成反応の活性の低さが課題となっていた.当該年度は水の酸化反応に着目し,進めた. 【具体的内容】 金粒子を様々な方法(光析出法,析出沈殿法,コロイド光電着法)で酸化チタン上に担持し,さらに光析出法を用いて遷移金属種(クロム,鉄,ニッケル等)を担持することで金コア-遷移金属種シェルを作製した.この中でクロム種を修飾した金コア-酸化クロム種シェル担持酸化チタンを水の酸化反応に用いたところ,金単独のサンプルよりも高い活性を示し,担持量を制御することで,約2.5倍の活性となった.この反応中におけるクロム種の役割については現在調査中である.参考文献を基に酸化クロム種の役割を正孔移動層もしくは電子移動層であることを予想した.この場合の酸化反応サイトを探索する実験を含め,現在,電気化学測定を実施することで役割の理解を行っている. 【意義・重要性】 以上の結果より,金粒子上に適切な酸化物層を形成することにより,酸化反応活性が上昇した.これにともない水分解反応活性の上昇が期待できる.しかし,水分解反応には還元反応サイトの助触媒も必要であり,調製法を工夫する必要があるが,これまでの知見を駆使することで可能であると予想する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時に設定した目標「金プラズモニック光触媒による水分解反応」における課題点を解決し,成果を触媒討論会にて発表した.以上の事実から,研究は順調に進呈していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
金粒子担持金属酸化物を用いた光触媒活性の向上および高・多機能化は金粒子の周辺の材料設計・合成手法が重要であることが,これまでの研究により明らかとなっている.このような観点から,平成31年度(令和元年度)の研究では平成30年度に達成した金粒子上への酸化クロム種シェル形成による酸化反応の活性向上の知見を水分解反応へ適応する.
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