研究課題
平成29年度に実施した基礎試験データを基に設計したシステムの開発を引き続き進めた。平成29年度の基礎試験の結果、堆積物内における大きな速度分散が画像品質に強く影響することが分かったため、この速度分散を補正するためのウェーブレット縮退法に基づく新しい信号処理手法を開発した。先ず、フランスとの共同研究を開始し、堆積層内における音波伝搬シミュレーターの高度化を図った。平成29年度の結果から、粒径が小さい堆積物のシミュレーションが困難であることが判明したため、フランス国立科学研究センター(CNRS)との共同研究を行い、粒径が小さい堆積物のシミュレーションを実施した。シミュレーターは、CNRSが開発を進めてきたスペクトラル要素法と均質化法を基にして開発し、フランスのスーパーコンピュータを利用してシミュレーションを実施した。これにより想定している粒子サイズ全ての堆積物モデルにおいて音波伝搬シミュレーションが可能となった。また、平成29年度の項目1-3で開発したソーナープローブを駆動するためのパワーアンプ及び制御装置を開発した。実験水槽を利用して、開発したシステムの駆動試験及び性能評価試験を実施した。模擬堆積物に二枚貝を埋没させて試験を実施した。平成29年度の試験によって、粒径によって音波伝搬状況が大きく異なることが分かったため、実験には粒径の異なる8種類のガラスビーズを用意した。実験により、今回開発したシステムを用いて埋没させた二枚貝が十分検出可能であることが分かった。音響画像に強く影響を与える速度分散を補正するための信号処理技術を開発した。また、対象物の視認性に影響するスペックルノイズを低減するために、ウェーブレット縮退法を基にしたノイズ除去フィルターを開発した。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度に実施した基礎試験データを基に設計したシステムの開発を引き続き進めた。平成29年度の基礎試験の結果、堆積物内における大きな速度分散が画像品質に強く影響することが分かったため、この速度分散を補正するためのウェーブレット縮退法に基づく新しい信号処理手法を開発した。また、フランスとの共同研究により、堆積層内における音波伝搬シミュレーターの高度化を図った。概ね計画通りに開発が進んでいる。【項目1-2:堆積層内における音波伝搬シミュレーターの開発の続き】フランス国立科学研究センター(CNRS)との共同研究を行い、粒径が小さい堆積物のシミュレーションを実施した。シミュレーターは、CNRSが開発を進めてきたスペクトラル要素法を基にして開発し、フランスのスーパーコンピュータを利用してシミュレーションを実施した。これにより想定している粒子サイズ全ての堆積物モデルにおいて音波伝搬シミュレーションが可能となった。【項目1-4:計測システムの開発】 平成29年度の項目1-3で開発したソーナープローブを駆動するためのパワーアンプ及び制御装置を開発した。【項目2-1:水槽模擬試験】 実験水槽を利用して、開発したシステムの駆動試験及び性能評価試験を実施した。模擬堆積物に二枚貝を埋没させて試験を実施した。平成29年度の試験によって、粒径によって音波伝搬状況が大きく異なることが分かったため、実験は8種類の粒径のガラスビーズを用意した。実験により、今回開発したシステムを用いて埋没させた二枚貝が十分検出可能であることが分かった。【項目2-2:微小な埋没物の探知処理技術開発】 音響画像に強く影響を与える、速度分散を補正するための信号処理技術を開発した。また、対象物の視認性に影響するスペックルノイズを低減するために、ウェーブレット縮退法を基にしたノイズ除去フィルターを開発した。
平成29年度、30年度に新たに開発したシステムを用い、平成30年度に実施した基礎試験データを基に、システムの最適化を進める。これまでの試験結果から、本システムによって、模擬堆積物に埋没させたアサリの検出が可能であることが分かったため、本年度は実利用に向けてシステムの最適化を図る。また、実海域においてin situの試験を実施予定である。【項目3-1:システム最適化】これまでの試験で得られた知見を活かし、実海域での利用を見越したシステムの最適化を進める。海中で利用できるように、制御部を耐圧容器に組み込み、駆動試験を実施する。【項目3-2:実海域試験】最適化したシステムを用いて、実際の海域で内在性二枚貝の調査や埋設ケーブルなどの埋設物の検出試験を行い、本システムの有効性を検証する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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