大脳新皮質は、哺乳類のみに存在する大脳の表面を覆う領域で、多くの認知機能に関わる。6層構造からなる大脳新皮質は、各層の神経細胞が異なる入出力を持ち、学習・記憶が関与する認知課題をおこなう際には、様々な脳領域とネットワークを形成し、情報処理をおこなう。これまでの研究で、報酬をともなう運動学習の記憶過程における、げっ歯類のマウス大脳新皮質の神経基盤を、in vivo 2光子カルシウムイメージングで明らかにした。本研究では、小型霊長類のコモンマーモセットを対象として、運動学習の神経基盤の解明を目指す。2018年度は、霊長類マーモセットの大脳新皮質で、運動課題中の多細胞活動を in vivo 2光子光子カルシウムイメージングで長期間・同時計測することに成功し、論文報告した。具体的には、まずは、マーモセットのための手で道具を操作する運動課題用装置と新規の訓練方法を開発し、マーモセットが手を使ってうまく運動課題を習得できる事を実証した。次に、in vivo 2光子カルシウムイメージングで、運動課題中の多くの脳神経細胞の活動を、長期間・同時計測することに成功した。このように運動課題中のマーモセットで in vivo 2子カルシウムイメージングによる神経活動の計測が可能なったことで、今後、霊長類脳における様々な認知・行動に関わる神経細胞の活動やその空間分布を1細胞レベルで解析することができるようになることを示唆している。
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