がん患者の死因のほとんどは遠隔臓器への転移による。転移の成立には、がん細胞と転移臓器由来の間質細胞との相互作用が重要な役割を担うと考えられてきた。そこで、本研究では、マウスなどの実験動物の生体組織においてがん細胞に近接する組織間質細胞をその場で蛍光標識する遺伝子コード型ツールsGRAPHICを開発した。sGRAPHICは、既存の近接細胞蛍光表記技術に比べ、細胞接着様式の影響を受け難く、汎用性が高い。sGRAPHICで蛍光標識された組織間質細胞は、蛍光活性化細胞分取装置で単離可能であり、1細胞オミクス解析によって、転移を制御するがん細胞-間質細胞相互作用の解明に新たな力となることが期待される。
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