本研究の目的は、標的とする任意のDNA配列を切らずに直接書き換えることが出来るゲノム編集技術として、これまでに達成できた、シチジン脱アミノ化反応を用いる「切らないゲノム編集C型」に加えて、より難易度の高い「切らないゲノム編集A・T型」を実現すべく、DNAアデニン・チミン変換型ゲノム編集人工酵素等を構造的アプローチと進化工学を駆使して創出し、新たなゲノム編集技術として確立することが本研究計画の目的である。これによってすべてのDNA塩基の自在な書き換えを実現し、生命科学全般の基盤となる革新的なツールを提供する。
本年度は、昨年度までに獲得したDNA脱塩基酵素のシリーズについて、その機能性を拡張する検討を行った。より具体的には、分子特性が様々に異なるCRISPRシステムとの最適な組み合わせと融合形態を見出すべく、複数生物由来のCas12aやCas12bを候補として選定し、それぞれとの複合体についてコンストラクトを構築して酵母細胞内において評価試験を行った。その結果、Cas12aの一種において、有意な変異導入を確認することができた。
|