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2017 年度 実績報告書

最先端遺伝学・光遺伝学技術を駆使した哺乳類細胞の等分裂制御原理の追究

研究課題

研究課題/領域番号 17H05002
研究機関名古屋大学

研究代表者

清光 智美  名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10503443)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード光操作 / ダイニン / NuMA / 紡錘体配置
研究実績の概要

本年度は以下の2つの主要テーマについて進めた。
1. ダイニン複合体の細胞皮層局在化とその制御機構の解明
2. 皮層モーターの光操作による、紡錘体配置、娘細胞サイズの操作
まず光操作によるNuMAの局在化をつうじて、NuMAがLGNやGaiに非依存的にダイニン、ダイナクチンを局在化させ、紡錘体牽引力の生成に十分であることを実証した。さらにNuMAのN末端に保存されたSpindly-like motifを発見し、NuMAがその他のダイニンアダプター同様に、spindly-like motifを介してダイニン、ダイナクチンを局在化かつ活性化させているとのモデルを提唱した。さらに光操作の実験から、紡錘体極からの距離に依存してNuMA-ダイニンの結合が負に制御されるという、以前私たちが提唱したモデル(Kiyomitsu and Cheeseman NCB 2012)を支持する結果が得られた。さらにPlk1キナーゼのリン酸化コンセンサス部位にリン酸化を模倣した変異を導入したNuMA変異体を光操作すると、ダイニンを局在化させることができなくなった。以上の結果から、Plk1によるNuMAのリン酸化がダイニン-NuMAの結合を制御している可能性がより強く示唆された。上記の一部を論文としてまとめ、bioRxivに投稿した。
Okumura M., Natsume T., Kanemaki MT., Kiyomitsu T.* Optogenetic reconstitution reveals that Dynein-Dynactin-NuMA clusters generate cortical spindle-pulling forces as a multi-arm ensemble. bioRxiv, doi: https://doi.org/10.1101/277202 (2018)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

光操作をNuMA及びダイニン(DHC)に対し行うことに成功し、ダイニンの局在化自体は紡錘体の牽引力生成に十分ではなく、NuMAに依存したダイニン・ダイナクチンの局在化が牽引力生成に十分であることを証明できた。またNuMA断片を局在操作する系を構築し、NuMAの4つの機能ドメイン(N末のダイニン局在化、中央の長いcoiled-coil、C末の微小管結合ドメイン、C末のクラスタードメイン)がそれぞれ牽引力の生成に必要であることも明らかにできた。
一方、オーキシン誘導デグロン株に関しても、ダイニン(DHC)、ダイナクチン(p150)、LIS1、NuMAについて樹立でき、それぞれを親株にその他の因子を可視化するために多重ノックイン細胞を作成した。また分裂期中期特異的に分解する実験系も確立でき、それぞれの表現型を比較解析し、ダイニンとNuMAの紡錘体極機能の違いを抽出することに成功した。

今後の研究の推進方策

光操作については、NuMAのPlk1リン酸化部位変異体や、染色体派生シグナル非感受性変異体の解析を行い、私たちが提唱している紡錘体極、および染色体派生シグナルによる細胞皮層NuMA、ダイニンの局在制御機構(Kiyomitsu and Cheeseman NCB 2012)の分子的理解を進める。またPlk1の阻害実験や、RCC1やRanGAP1などのデグロン株による解析、生化学的解析も同時に進める。一方、ダイニンのみならず、細胞皮層ミオシンの上流因子の光操作も進め、膜収縮力の操作、あるいはそれと紡錘体配置操作をくみあわせて、細胞分裂サイズの操作が可能かどうか実証する。
また1年目の成果から、NuMA-ダイニンの結合制御機構は、細胞皮層のみならず紡錘体極でも保存されている可能性が示唆された。つまり紡錘体極においてもNuMA、ダイニンは局在し、紡錘体極の収束やその維持に機能していると考えられているが、NuMA-ダイニン結合は同じく紡錘体極に局在するPlk1によって負に制御され、別々に機能する可能性が考えられた。ダイニン(DHC)、ダイナクチン(p150)、LIS1、NuMAの分裂期中期分解表現型を軸に、このモデルを実証し論文を作成する。

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公開日: 2020-03-17  

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