研究実績の概要 |
本年度は以下の主要テーマについて研究を進めた。 1.ダイニン-NuMA複合体の細胞内再構成と紡錘体牽引力生成メカニズムの解明 2.ダイニン-NuMA複合体の細胞皮層と紡錘体極における制御機構の保存性と違いの解明 3.染色体派生Ran-GTP濃度勾配によるNuMAの制御 まず、1の成果を、論文で公表することができた(Okumura M, Natsume T, Kanemaki MT, Kiyomitsu T, eLife 2018)。昨年度までの成果に加え、ダイニン活性阻害剤(Ciliobrevin-D)を用いることによって、 NuMAの光操作による紡錘体牽引力がダイニンの活性に依存することを証明した。またオーキシン誘導デグロン(AID)による内在性NuMAの分解と、変異体NuMAの誘導系を組み合わせた、置換実験系を樹立し、NuMAのclustering活性が紡錘体極機能には必要ではなく、細胞皮層での星状体微小管の結合/牽引に必要であることを証明した。また同じ実験系を用いて、2において、NuMAの2つの異なる微小管結合ドメインが紡錘体極における微小管の収束と、細胞皮層における星状体微小管の結合/牽引にそれぞれ機能することを明らかにした。また3については、RCC1 (RanGEF)、RabGAP1、Importin-βのオーキシン誘導デグロン(AID)細胞を樹立し、ヒト体細胞において、RanGTPの濃度勾配が、NuMAの紡錘体極局在と機能には関与せず、HURPとImportin-βの動原体微小管の染色体側領域への結合に必要であることを明らかにした。3の結果の一部は、プレプリントサーバーbioRxivにも報告した(Tsuchiya et al., 2018 doi: https://doi.org/10.1101/473538)。
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