研究実績の概要 |
本年度は以下の主要テーマについて研究を進めた。 1.染色体派生Ran-GTP濃度勾配による紡錘体形成因子の制御 2.ダイニン-NuMA複合体の紡錘体極収束機能メカニズムの解析 3.初期胚モデルとしてのメダカ実験系のセットアップ 4.ダイニン-NuMA複合体の形成-乖離機構の生化学的解析
1.については、前年度までに樹立した、RCC1等のAIDデグロン株や分裂期特異的分解アッセイをもちいて、Ran-GTPはNuMAの紡錘体極収束機能の活性化には不要であるが、染色体近傍でのHURPの微小管結合-乖離サイクルを促進し、適切な紡錘体形成に機能することを示し、論文として公表した(Tsuchiya et al., 2021 Current Biology)。 2.については技術員のSusan Boernerと共同して追試験を行い、統計的解析に十分なサンプル数を得た。3に関しては、spinning-disc confocal microscopeを用いて、メダカ初期胚分裂の紡錘体動態の可視化を高解像度でできる実験系を確立した。またユニットメンバーの清光愛と協力して、ダイニンのGFP融合トランスジェニックメダカの作成にも成功し、その初期胚局在の観察も行なった。またメダカ初期胚でauxin inducible degron(AID)法を用いたタンパク分解系の確立に向け、条件検討を行い始めた。マウスES細胞でのAID法の利用に関しては、共同研究先で条件検討がまだ十分にできていないため、今年度はメダカの系に集中した。4.については技術員のEuikyung Yuと共同で精製の条件検討を行い、至適条件を見つけることができた。
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